京ことば源氏物語 山下智子さん語り会チラシ
A4 読むの会/紫苑語り会/座・マーケット/神戸風月堂 他
AD/D/Photoなど
●memo 京都生まれ、京都在住の山下さんは、古い京言葉で読む「源氏物語」の語り部です。「もののあはれ源流への旅」というコンセプトで国内に留まらず、海外でも公演活動されています。
山 下さんは実力派の元女優。演劇で鍛え上げた表現力は、物語りの精妙な造形に生きていて、沢山の登場人物の心情だけでなく、自然の気配までも 手に取るように感じられます。それは単なる「朗読」の域を超えて「五感に響く文学」という感じすらします。黙読では絶対味わえない、物語の原点なのではないかと思います。
「源氏物語」が書かれた平安時代は物語は語られ、聴かれるものでした。自分達の生きる場の言葉で語られるあれこれは、肌身にあった言葉・音調によってよりリアルになって、心に染み込んだのだろうと思います。
江戸落語は、江戸言葉で聴いた方が醍醐味を味わえるし、宮澤賢治の「風の又三郎」を岩手訛りで聞く時に、体に風がビュッと吹き抜けるような気持ちになるのは、自分がその土地で生きたことがなくても、その時代を知らなくても、何処か懐かしさや、自然の息吹を感じる心身の回路を私達が持っているからではないでしょうか。そんな事に考えを巡らせてくれるのです。
( 私見ですが、「サウダージ」という難解な言葉の本当の意味は、そんなところに読み解く秘密が有るのじゃないかと思っています。)
チラシ作りは、東京・明大前のキッド・アイラック・アートホールの連続語り会からスタートしました。そのホールは60年代からサブカルチャーを下支えして 来た歴史ある老舗。黒壁のホールは、小さいけれど「甘っちょろいものは許さないぞ」という矜持を感じさせて、身が引き締まる場所です。そこでは、演者だけでなく、観客にも集中力を求めるようです。(会場が閉館してから新宿東長寺を経て、2018年から〈アトリエ第Q藝術〉=成城学園前に移りました)
そんな語り会だから、チラシデザインもそれに相応しいものにしたいし、新しくて、サウダージ感いっぱいの「源氏物語 観」を作りたいと取り組んでいます。
2018年2月公演から会場を成城学園前 第Q芸術に移します。
第Q芸術を立ち上げた、照明・音響ディレクターの早川誠司さんはキッド・アイラック・アートホールでずっとこの会を支えてくれていました。
興味のある方は下記へアクセスしてみてください。
http://www.genji-kyokotoba.jp/
https://www.seijoatelierq.com/
チラシデザインでは、山下さんのコンセプト=「もののあはれ源流への旅」にあるように、この物語を雅な平安貴族の恋物語ではなく、紫式部の意図を探りながら新しい角度から光りを当てようとトライしています。
また、文字について、漢数字・縦組みに徹しようと頑張ったが、地図ではやむを得ずヨコ組も混じってしまう。
また、封書で発送する時に三つ折りにする前提で紙面の三分割にも耐えられるレイアウトを目指しましたた。オモテ面では山下氏の頭部が切れないようにするという制約はかなり難しいが、これは一つの勉強になっています。
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